みなさん、南魚沼市ってご存知ですか?あの、コシヒカリのブランド米で有名な地域です。
今私は大学院生で、南魚沼市をフィールドにした研究をしているので、よく通っています。その中でとても良いブランディングの事例を見つけたので、今日はみなさんにご紹介!
コシヒカリってどれも一緒でしょ?
南魚沼のコシヒカリならどれも同じでしょ?
そう思われる方もいるかもしれません。でも、実は全然違います。南魚沼市は市内を南北に流れる魚野川の流域に発展したまちで、東には八海山など越後三山を有する2000m級の越後山脈、西には500〜1000m以下の魚沼丘陵に囲まれた盆地です。同じ市内でも地質が異なり、美味しいお米がとれる場所は丘陵側と言われています。しかし、反対側の大桑原という地域で、「お米日本一コンテスト最高金賞」を受賞した農園があるのです。それが、こまがた農園さん。
本場だからこそ差別化をする
最初は「南魚沼で作れば美味しいに決まってる」と思いながらコンテストに出品したら、全然ダメだったという経験から、どうすれば美味しいお米ができるのか、研究に研究を重ねて獲得した最高金賞。農協に出せば流通といった意味では日本一の高単価で売れるわけですが、それでは他の農園の米と混ぜられてしまうし、質より量になってしまうとあえてBtoCで売ることを決意。そこで米作りに真剣に向き合い、将来にわたって地域を豊かにしていくためにとった方向性が付加価値をつけて高く売ること。
こまがた農園さんのHPを見ればわかりますが、理由を知らないとためらってしまう価格かもしれません。でも、農薬を使わず、自家製の有機肥料を用いて、園内でできるだけ循環させる仕組みを作っている彼らのお米は、一口食べた瞬間に誰もが「美味し〜い」と口にする旨味です。単に価格を上げるのではなく、どうすれば強豪ひしめく南魚沼の中で差別化できるのかを考え、取り組んだ結果が今の地位を作っています。
ブランドとは何か?
この事例でもお分かりの通り、ブランドは大企業に限らず誰でも作ることができます。でも、大切なのは単に高く売るということではありません。実際、南魚沼産コシヒカリは全国でも人気があり、農協の取引価格も高値です。しかし、温暖化が進み気候変動も起こる中、最近は「北海道の米の方が美味しい」と言われたりもしています。努力をせずにブランドを維持することはできないのです。
ブランドとは何か?
それは、理念を明確にし、何のために事業をしているのか、提供できる価値は何かを磨き続けた結果できあがるもの。かっこいいロゴやパッケージがブランドを作るのではなく、そこに携わる人がブランドを作っていくのです。
こまがた農園さんでは他にこだわりのスイカも作っていますので、興味のある方はぜひ一度食べてみてくださいね🍙🍉